永住外国人に生活保護受給権を認める高裁判断が最高裁で見直しか
永住資格を有する外国人の生活保護受給権を巡る裁判の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は、6月27日に上告審弁論を開いた。2審の福岡高裁は永住権を有する外国人の生活保護受給権を認める判決を下しているが、今回最高裁で弁論が開かれたことで、その判断が覆される可能性が高くなった。
この訴訟は、大分市に生活保護申請を却下された永住資格を持つ中国籍の女性(82歳)が、同市を相手取り却下処分の取り消しなどを求めて起こしたもの。
大分地裁は訴えを退けたが、女性の控訴を受けた福岡高裁は「1981年に難民保護の国際条約を批准したことにより、一定範囲の外国人にも生活保護の受給権が生じた」とし、一定の範囲で外国人の生活保護受給権を認める判断を示していた。
最高裁が弁論を指定する場合、原審判決を見直す判断を示すことが通常。なお、一般に永住外国人に対しては、受給権がないことを前提として、自治体が裁量で生活保護を支給する運用が行われている。
日本の裁判制度は三審制になっています。
地方裁判所、高等裁判所を経て今回、最高裁判所で審理されようとしています。最高裁判所で判決が下されると、この判決が確定されることになります。
最高裁判所の判決で高等裁判所の判決が覆されれば、永住権を持つ外国人には生活保護受給権は認められないことになります。
生活保護に関して言えば、広義の意味では憲法25条の生存権に該当します。
過去の裁判例では、生活保護受給に関して憲法25条の生存権の規定を根拠に争ったものもありましたが、憲法25条はプログラム規定であり、生活保護受給に関しては生活保護法によって判断されるというものでした。
したがって、残念ながら永住権を持つ外国人にとっては、厳しい判断となる可能性が高くなると考えられます。
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